関節唇損傷(SLAP損傷)による肩の痛みの施術と予防策
関節唇損傷(SLAP損傷)で起こりやすい症状
- 肩が痛い
- 肩を動かすと音がする(弾発音)
- 特定の動作で肩が痛い
- じっとしている時(安静時)の痛みはあまりないが、動かした時に肩が痛む
- 肩に力が入りにくい
関節唇損傷(SLAP損傷)でなくても、肩こりや肩こりから発展した四十肩や五十肩などでも上記の症状は出ることがあります。
関節唇とは?
関節唇は関節の周囲にあり、
- 骨と骨で連結される関節の適合性を高める
- 衝撃を和らげる
- 関節の安定性を高める
といった役割があります。
関節の適合性を高めるについてですが、肩の場合、肩甲骨の関節窩と呼ばれるくぼみの周りに関節唇があり上腕骨頭との適合性を高めます。
肩関節の浅さを補う関節唇の役割
肩関節はくぼみが浅く、肩関節の構造を簡単に例えるなら、
盃(関節窩)とテニスボール(上腕骨頭)が合わさっているような関節です。
関節窩の浅さを補うのがこの関節唇です。肩関節唇の周りを取り囲むようにあり、この関節唇のおかげで肩のくぼみが60~130%増加するという報告があります。
またこの関節唇は上腕骨頭を繋ぎ止める働きがあり、
肩関節唇が損傷している場合に腕を引っ張られると、損傷していない場合と比べ
約10~13%の力だけで肩が脱臼してしまいます。
このことからも肩の関節唇は肩関節をつなげる結合の役割が高いということが分かります。
関節窩損傷(SLAP損傷)が起こるメカニズム
特に関節唇の前下方部は弱く、関節唇損傷の中でも損傷が多い部分という報告があります。
また関節唇の上部と下部とを比較してみた場合、
上部は疎性結合組織と呼ばれる柔らかい組織であるのに対し、
下部はコラーゲン繊維が豊富に存在する組織が多くみられ、
上部に比べると下部の方が強固な作りとなっております。
そのため、肩の関節唇の場合、上部や前下方部に損傷が見られることが多いということです。
関節唇損傷が起こる原因
- 野球などの投球動作
- 腕を肩よりも上にあげるような動き(オーバーハンド)があるスポーツ(テニス、野球、ハンドボール、バスケットボール、バレーボール、水泳、アメリカンフットボールなど)
- 転んで手を着いたときのケガ
- 四十肩や五十肩、慢性的な肩こり
野球の投球時で起こる関節唇損傷
野球のコッキングで起こりやすいとされる投球障害(SLAP損傷)も関節唇上部の損傷で起こります。
上腕二頭筋が投球動作などの腕を使う動作を繰り返すことで硬くなり、上腕二頭筋腱付着部であるこの関節唇上部の損傷に繋がりやすくなります。
野球のコッキング動作の様に肩関節を外転させ外旋させる動作は、野球投球以外でもスポーツにおいてよく起こる動きです。
テニス・バレー・バスケ・アメフトなどで起こる関節唇損傷
野球の投球動作以外にも、
バレーのアタック、ハンドボールのシュートやパス、バスケットボールのパスやシュート、テニスのサーブやボールを打ち返すレシーブ動作などなど、
このような動きの中で上腕二頭筋腱が酷使されて硬くなり、関節唇を引っ張るような力が加わり続けることで、関節唇損傷に繋がっていくきっかけになるのです。
四十肩や五十肩、慢性的肩こりからくる関節唇損傷
また、このようなスポーツから起こるケガ以外にも、肩関節周囲の痛み(四十肩や五十肩などの肩の痛みや肩こり)を我慢することで関節を引っ張るような方向に負担がかかり続け、関節唇を損傷するというケースがあります。
関節唇損傷に対しての施術
関節唇の栄養供給は、肩甲上動脈、肩甲回旋動脈などの血管により養われます。
ここでも、関節唇の上部は下部に比べ血流が少ないということから、関節唇上部損傷(SLAP損傷)を起こすと修復に時間を要しやすい傾向にあります。
とわいえ、血流を促す事は関節唇損傷の施術では大切です。上述した血管の流れの走行に関する筋肉などを緩めるための鍼灸の施術やマッサージを行います。
また、上腕二頭筋の可動域を高めることや、肩関節自体の可動域の改善に向けて、鍼灸や超短波、マッサージによる施術を行います。
関節唇損傷での鍼灸による施術やマッサージのことなら東広島鍼灸整骨院にお任せ下さい。
関節唇損傷を繰り返さないための予防策
関節唇損傷すると、先ほど述べたような血流が少ないことなどからも修復に時間を要するため、できるなら関節唇損傷する前にケアを行い、そこまでに至らないようにしておくことが得策と言えます。
そのためには、日頃から肩関節の可動域をチェックして動きが悪い方の筋肉のストレッチを毎日行いましょう。
ストレッチでは伸びない、肩の硬さが取れないという場合は放置されず、早めに整骨院や整体院、鍼灸院などでケアをもらうことがおススメです。
特に、上腕二頭筋腱に負担がかかる動作の多いスポーツでは、他のスポーツに比べて関節唇を痛めやすい傾向にあるため、上腕二頭筋の硬さに気を付けて、硬くならないようにセルフマッサージなどを行うこともおススメです。