腰椎分離症、腰椎すべり症になったら
腰椎分離症とは?
腰椎分離症は、腰椎疲労骨折の一つで、
簡単に言うと腰椎の骨(関節突起間や椎弓)に起こる疲労骨折により亀裂が生じ、
骨の連結が立たれる状態を言います。
腰椎すべり症とは?
また腰椎分離すべり症は、腰椎分離症によって
上関節突起とか関節突起部分が切り離されることで、
上関節突起と椎体部分が前方へ移動する状態を言います。
なんだかちょっと難しいですね。
腰椎分離症は成長期に起こりやすい
腰椎分離症は成長期に起こりやすく、
スポーツを行う学生に見られます。
好発部位は腰椎の第5番が最も多くみられます。(腰の下の方)
また、腰椎分離症が生じていても痛みが生じないケースも多くあり、
腰痛が無い方でも5%ほどみられるということです。
成長期に分離症が生じていて、
大人になり痛みが出てレントゲンを撮ると、
腰椎分離症が発見されるということもあります。
腰椎分離部分は、
多くの場合は骨が融合されずに偽関節になります。
腰椎分離部分は偽関節を形成しますが、
大人になって腰に負担をかけていく過程で腰椎にストレスをかけ、
子供のころに腰椎分離症になっていたところが腰椎すべり症へ発展するというケースもあります。
テニスや野球などのスイング動作で起こりやすい腰椎分離症
特に、テニスやゴルフ、野球などスイングの動き(回旋動作)があるスポーツでは、
腰を回旋させるような動きを取るため、
繰り返していくことで腰椎に負担をかけます。
本来この体幹を回旋させる動きは、
腰椎を回旋させているように見えますが、
腰椎は回旋する動きとしては少ない範囲でしか動かせず、
股関節や胸椎の動きが、大きくスイングの回旋動作を担っております。
ですので、腰のみでスイング動作を行おうとすると、
腰椎へのストレスがかかりやすくなるため、
腰椎分離症やそこから腰椎すべり症を引き起こしやすくなります。
腰を反らせる動作でもなりやすい腰椎分離症
また、関節突起部分は腰椎の伸展(後屈)動作にも弱い構造となっている為、
腰を反らせるような動作を無理にしてしまうことでも、
腰椎分離症やすべり症を生じやすくなります。
腰椎分離症の治療期間
腰椎分離症は、腰椎の疲労骨折ですので、
骨癒合期間として3~6か月ほど、
全体のケアーとしては12か月ほどみておいた方がいいです。
腰の痛みは個人差がありますが、2か月ごろから引いてくるケースが多いです。
そこから徐々に軽めの運動に取り組んでいきます。
腰椎分離症のケアー
✅しばらくは安静
✅痛みが治まってきたらストレッチから
✅日常生活は腰に負担をかけないように
✅カルシウムの多い食事
✅血流を促すために鍼灸も取り入れたほうがいい
しばらくは安静
腰椎を回旋させる動きや腰を反らせる動きは注意して控えましょう。
運動も痛みが軽減するまでしばらくは控えます。
もしコルセットをする場合は、腰の痛みが気になる急性期のみ、
コルセットをつけて動きましょう。
痛みが治まってきたらストレッチ
ストレッチは初め太もも周りを中心に。
ある程度痛みが引いてきたら、
股関節や背中周りの筋肉をストレッチなどで緩め、血流を促しましょう。
日常生活は腰に負担をかけないように
日常生活は、腰に負担をかけないように注意して無理のない範囲で行います。
日常生活で気を付けること
・重いものを持たないように
・座りっぱなしや立ちっぱなしに注意
・腰を回して振り向かない
・腰を反らせる動作をしない
骨折部分の癒合を促すためにカルシウムを摂ろう
骨の生成を促すために、カルシウムを意識して摂るようにし、
日光に当たりビタミンDの生成を促しましょう。
血流を促すために鍼灸も取り入れたほうがいい
腰椎分離症、腰椎すべり症になる方は、
多裂筋、腸腰筋、大腿四頭筋などが硬くなっていることが挙げられます。
ストレッチをしても伸びにくい多裂筋や、
鍼灸による施術や拘縮部分にマッサージをすることがおすすめです。
この筋肉を緩めていかないと、
腰椎に負担をかけやすくなりますので、
鍼灸でなるべく早めに筋肉を緩めてあげる必要性があります。
腰椎分離部の鍼灸は、初めのうちは炎症症状を取る目的に軽めから、炎症症状が治まってきたら深部にもアプローチしていき、多裂筋を緩めます。
腰椎分離部のマッサージは、刺激の強さによりますが、骨に負担をかけるケースがあるため、骨が癒合してからにしましょう。
患部でなければ刺激の強さを注意すれば大丈夫です。
この場合は、強すぎると体に無理な力が入ってしまうため、
プロによる施術をお勧めいたします。
腰椎分離症のセルフケアー
セルフケアーとしては、
ある程度痛みが引いてきたら、背中のストレッチも徐々行いましょう。
また、腰椎分離症から将来すべり症に発展しないように、
腰椎に負担をかけさせない工夫(同じ姿勢を続けない、腰を落として重いものを持つ、
腰回りが硬くなったと感じたら、鍼灸やマッサージでゆるめる等)と腰椎周りの筋力強化も必要になります。
安静のし過ぎもよくない
安静にしすぎるのも血流が悪くなり良くありません。
疲労骨折をしているからと言って、
だらだらずっと横になっていたり、
日常生活もあまり体を動かさなかったりすると、
かえって筋力が低下して、腰椎分離部分の治りが遅れていきます。
痛みが出ない範囲で日常生活を送り、血流を促すようにケアーを心がけましょう。